熊野古道コースの中で「熊野那智大社~熊野本宮大社」を結ぶ熊野古道を「大雲取越・小雲取越」といいます。雲取越え、まさに雲をつかむくらいの瓢湖800m級の山々を越えていくという意味です。
大雲取越コースは丸一日をかけてしっかり歩くコースで、標高は船見峠868mをを筆頭に800m級の山々を3つ越えていきます。小雲取越は大雲取越コースよりもやや緩やかで歩きやすい半日コースで、最も標高の高い所で500m足らずです。
日帰り、一日だけ小雲取越または大雲取越を歩きたい場合は、バス移動する方法もあります。一般的には小雲取越・大雲取越を1泊2日で歩くことを観光協会は推奨しています。
小雲取越コースは、眺望が楽しめ、木立の中を歩く、森林セラピーにもなる熊野古道コース。名所の「百間ぐら」はとっても素晴らしく熊野古道の中でも絶景スポットのひとつです。
小雲取越コースの地図、所要時間、距離、宿泊情報、車でアクセスする場合の駐車場ついてご紹介します。
もくじ
熊野古道「小雲取越・大雲取越」とは
熊野古道の小雲取越、大雲取越は、熊野那智大社と熊野本宮大社を結ぶ熊野古道「中辺路」になります。
昔は、熊野古道中辺路を経て熊野本宮大社に辿り着いた巡礼者は、熊野川を舟で下り、今の和歌山県新宮市の「熊野速玉大社」に向かいました(2004年に川の参詣道として世界遺産に登録されました)
熊野速玉大社からは海沿いを歩いて熊野那智大社へ向かったのですが、熊野那智大社から熊野本宮大社に戻るために利用された道が熊野古道の「大雲取越」「小雲取越」です
「大雲取越」「小雲取越」の読み方は、おおくもとりごえ、こぐもとりごえです。この2つは雲取越え(くもとりごえ)とセットで呼ばれます。というのは、二つのルートを二日かけて歩いてやっと、熊野本宮大社・熊野那智大社に辿り着くからです。
熊野本宮大社と熊野那智大社の間の道は一日で歩くのは距離も長く、険しい道のりになりますので、2日で歩くのがおすすめです。
日程的に2つのコースを歩くのが難しかったり、体力的に厳しいと思われる方は、「大雲取越」「小雲取越」のどちらかを歩いて、熊野古道の素晴らしさを堪能することができます。
両方の「小雲取越・大雲取越」コースは、山越えコースですので、歩いた達成感や熊野古道らしさを楽しめます
- 大雲取越は、熊野那智大社からその名の通り雲の中を行くような峠を越す、険しい峠道です。
- 小雲取越も小口から本宮大社へ向かう峠道ですが、その名のとおり大雲取越よりは緩やかになります。
「小雲取越」コースについて
熊野古道「小雲取越」
距離 | 約13km |
標準歩行時間 | 4時間30分 |
所要時間 | 約5時間30分 |
【小雲取越の地図】
他の熊野古道コースの地図が必要な人はこちら
「小雲取越」コース 小口→熊野本宮大社(熊野那智大社側から歩く場合)
熊野那智大社から「大雲取越」を経て、「小雲取越」を歩く場合は、川を渡って、熊野古道の「小雲取越」の起点は「小和瀬」になります。
これから、山道に入っていきます
小雲取越のハイライトは、目の前に広がる雄大な熊野の山並みを望む「百間ぐら」からの眺望です。百間ぐらは熊野三千六百峰ともいわれる雄大な山々を眺めることができます。
写真スポットでもありますから、大きな深呼吸して休憩を取りましょう。山々がとにかく素晴らしい!絶景です
その後は、ほとんど下り坂。熊野古道らしい道、木々の緑の香りに包まれて、のんびり森林浴を楽しみながら歩けます。木立の間から熊野川が見えてきます、ゴールの請川まではあとわずかです。
「小雲取越」コース 熊野本宮大社→小口
起点は「請川」です。熊野本宮大社から歩く場合はアスファルト舗装の道になりますので、バスを利用するのがおすすめです。私もそうしました。アスファルトは足にけっこうきますので、温存するのを足が疲れないようにしました
「私が歩いた熊野古道「小雲取越」 熊野本宮大社→小口」
私が歩いたのは4月28日
請川下地橋バス停から道標から、急な坂道が始まります。民家の合間を縫って熊野古道小雲取越に入っていきます。
出逢ったおばちゃん、何をしているの?と聞いたら、、、お茶を干しているのだそうで。熊野では、番茶を自分の家で育て、燻して、揉んで、干して、作っているそうです。自然の恵みですよね。豊かだな~と田舎の素晴らしさを感じたひとときでした。
こんな緑がきれいな山道は歩いているだけで気持ちいいですよね。4月、5月、6月は、熊野古道歩きにぴったりな時期で、新緑が美しいのでおすすめです。
道標No.2からしばらく歩いて行くと、左下眼下に熊野川と熊野本宮大社方面が開けていきます。それほどきつくない登り坂を3kmほど歩いて行くと道標No.8を越えて、松畑茶屋(まつはたちゃや)
松畑茶屋跡には石積の住居跡がはっきりと見られ、昭和の頃までは地域に住む人の往来もあり、この辺りでは最後まで残っていた茶屋の一つです。
道標No.9の万才峠(ばんぜとうげ)分岐から左にある古道は伊勢路になっていますが、今は林道などで寸断され、熊野古道らしいコースは分岐点からしばらくの区間のみになっています。
4月末はこんなかわいらしいお花も咲いていて、緑がとても美しい季節でした
私のバックパックの写真。オレンジはフリースですが、4月末は暑くて着る必要がなかったのですね。速乾タイプの長袖シャツ(春秋用)一枚で十分でした。
歩いている途中、途中には標識や名所の説明もあるので、熊野古道の知識を深めながら歩くことができます。
熊野古道「小雲取越」という名前だけあって、標高が高いところを歩いて行くので山々がとてもきれいに見えました。大雲取越ほどではないので高いところでも標高500mくらいです。
万才峠から1kmの道標No.11を過ぎると、小雲取越前半の最高のビュースポット百間ぐらが開ける。
百間ぐらは高い崖くらという意味で、その昔盗賊が旅人を襲い崖から突き落としたなんて逸話も残っているようです。熊野の山々を遠く仰ぐ百間ぐらの展望は圧巻です。山々が見渡せます
百間ぐらからは熊野古道のコースは下りになります。杉林の道で歩いていると気持ちいいです。
熊野古道「大雲取越」について
熊野那智大社から熊野本宮大社へ、または、熊野本宮大社から熊野那智大社へ向かうには、2つの熊野古道「小雲取越・大雲取越」はセットになりますので、大雲取越についても簡単にご紹介します
大雲取越
距離 | 14.5km |
標準歩行時間 | 5時間10分 |
所用時間 | 7時間 |
標高 |
868m(船見茶屋) 840m(越前峠) |
大雲取越コースは標高差がありますので、上りと下りがあります。地図をダウンロードするか観光案内所に電話して熊野古道マップを手に入れましょう
詳しい情報は下記をご覧ください
⇒【大雲取越】熊野古道コース中級者におすすめ!2泊3日モデルコース紹介
小雲取越の歩き方
アクセス方法
【小雲取越を歩く場合】
小口から熊野本宮大社を目指して歩きます。
- 前日に小口自然の家に宿泊している場合は、小口から出発
- 前日に熊野本宮温泉郷に宿泊している場合は、新宮行きのバスに乗り、志古または神丸で乗り換えで小口に向かいます。
- 前日にJR新宮に宿泊している場合は、熊野本宮大社行きのバスで、小口に向かいます。
バスの時刻表
熊野本宮大社・湯の峰温泉・わたらせ温泉・川湯温泉から小口(小雲取越・大雲取越)・新宮へのバスの時刻表。
【大雲取越、小雲取越を合わせて歩く場合】
両方とも15km近い山越えのコースとなりますので、那智勝浦に前泊して大雲取越を越して小口で一泊、小雲取越を越して本宮で後泊とするのが一般的です。
または、逆コース
熊野本宮大社から小雲取越を歩き、小口で一泊し、大雲取越を歩き、熊野那智大社へ向かうこともできます。熊野那智大社の到着が午後遅く、夕方近くになるので、那智の滝のすぐ近くに宿泊し、翌日青岸渡寺の朝のお勤めに参加することもできます。那智の山「妙法山」からの朝日は絶景です!
車でアクセスする場合の駐車場
熊野本宮大社の駐車場に停めるのがおすすめです。
早朝に熊野本宮大社に到着して、熊野本宮大社周辺の駐車場に車を停めて、バスで小口に行ってください
熊野本宮大社周辺にはいくつか駐車場があります。黄色の3つ【左・真ん中・右】を参考にしてください
↑左側の駐車場は熊野本宮大社にいちばん近い「瑞凰殿駐車場」は夕方5時で鎖がかけられてその後車が出せなくなります。小雲取越は半日コースなので、早めに出発し、夕方5時前に戻るような日程であれば、この駐車場がおすすめ
黄色の真ん中の駐車場は、
熊野本宮大社のバス停の前に「熊野古道センター」「観光案内所」の目の前にあります。いつも混んでいますので、早朝に行って車を停めるのがおすすめです。閑散期でしたら車を停めることはできると思いますが、連休、週末、年末年始などはいつも満車です。また警備員さんもいるので駐車するのは難しいでしょう
熊野本宮大社の駐車場についてはこちらに詳しい情報がありますので、参考にしてください
バスの時刻表
(行き)熊野本宮大社から小口へ
本宮から小口へは、新宮行きバスにのり、志古または神丸から小口行きのバスに乗り換えます。
平成29年10月1日から
本宮大社前 | 湯の峰 温泉 |
渡瀬温泉 | 川湯温泉 | 請川 | 志古 | 神丸 | 小和瀬 | 小口 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
熊野交通バス | 6:45 | 6:55 | 7:01 | 7:03 | 7:08 | 7:26 | 7:30 | ※神丸で乗り換え | |
熊野交通バス | 6:55 | ー | ー | ー | 7:00 | 7:18 | 7:22 | ※神丸で乗り換え | |
熊野交通バス |
7:45
|
7:56 |
7:58
|
||||||
熊野交通バス | 7:25 | – | – | – | 7:30 | 7:48 | 7:52 | ※志古または神丸で 乗り換え |
|
熊野交通バス | ※平日のみ |
8:35
|
8:40 | 8:51 |
8:53
|
||||
熊野交通バス | 8:30 | 8:40 | 8:46 | 8:48 | 8:53 | 9:11 |
9:15
|
※志古または神丸で 乗り換え |
|
熊野交通バス | ※土・日・祝のみ | 10:55 | 11:00 | 11:11 | 11:13 |
(帰り)請川から熊野本宮大社へ
請川 | 川湯温泉 | 渡瀬温泉 | 湯の峰温泉 | 本宮大社前 | |
---|---|---|---|---|---|
熊野交通バス |
15:21
|
– | – | – |
15:26
|
熊野交通バス |
16:46
|
16:51
|
16:53 | 16:59 | 17:09 |
熊野交通バス |
18:06
|
– | – | – |
18:11
|
※バス時刻は、熊野交通バスにてご確認下さい。
こちらも参考に
おすすめ宿泊施設
小口
大雲取越と小雲取越の中間地点にありますので、両方歩く人は絶対「小口自然の家」がおすすめです。
まず、正直申し上げて、この小口自然の家の宿泊が取れないと小雲取越、大雲取越の宿をどこにするか非常に難しくなってきます。熊野古道「小雲取越・大雲取越」を歩きたいと思ったら、すぐに宿を確保してください!
大雲取越を歩く人も小口自然の家を予約されてください。小口に到着後に、移動するバスは夕方遅くなる場合は多分ないと思います。また、小雲取越を熊野本宮大社から歩いてくる人も小口自然の家に泊まるのがおすすめです。
部屋数も少ないですし、この周辺に大型宿泊施設がないため予約が取りにくいです。特に、3月~11月頃までほぼ予約がいっぱいです。外国人は早く予定を決めています。空室状況をすぐに電話で確認ください
木造校舎に泊まるお宿!旧小口中学校を利用して誕生した小口自然の家は、古き良き郷愁的な空間を味わ卯ことが出来ます。WIFIは無料です。
◆小口自然の家
住所:和歌山県新宮市熊野川町上長井398
電話: 0735-45-2434
Fax:0735-45-2233
休業日 :第二・第四日曜日(12月28日から翌年1月4日)
※宿泊利用のご予約については お電話もしくはファックスになります
小口に前泊して歩いた後に本宮温泉郷に宿泊するのがおすすめです。
熊野本宮大社の温泉郷「湯の峰温泉」
バス停が目の前の湯の峰温泉の老舗旅館
熊野本宮大社の温泉郷「わたらせ温泉」
大露天風呂が最高に気持ちいいおすすめ宿
熊野本宮大社の温泉郷「川湯温泉」
河原から温泉が湧いてきているとても珍しい温泉で、露天風呂は川を見ながら入ることが出来ます。とてもリラックスできます。
熊野古道の起点まで送迎してもらえます!事前に確認を!
熊野那智大社・那智の滝
大雲取越&小雲取越を歩く予定の方は、那智山に宿泊して、熊野本宮大社方面へ向かってください。8時には出発するのがおすすめなので、那智山の美滝山荘がいいです。
また、逆に熊野本宮大社方面、小口から大雲取越を歩いて熊野那智大社に辿り着いた方は、翌朝早朝には「青岸渡寺の朝のお勤め」がありますので、参加されるのがオススメです。また、那智山からの朝日は超絶景ですので、お見逃しなく(^_^)
那智の滝に一番近い宿。那智山の宿泊施設はここだけ!
熊野古道を歩く服装や持ち物
熊野古道の中辺路、その中でも、小雲取越、大雲取越は難所なので、杖「ストック」持参がおすすめです!
参考までご紹介します
熊野古道を歩くのに、杖「ストック」はあった方がいいです!
特に、小雲取越、大雲取越はアップダウンがありますので、足腰の負担を軽減にもなりますし、足の筋力や膝に不安がある人は特におすすめ。上りよりも下りは、ひざに負担がかかります。
熊野古道を歩くのに、1本のストック(杖)よりも、2本がおすすめ
グリップの形が「I型」を2本持って、歩く方がバランスよく、リズムよく歩くことができます。
こちらも参考にして熊野古道の準備をしてください
⇒熊野古道の靴の選び方!失敗しないポイント!初心者向けシューズ紹介
最後に
熊野古道「小雲取越」をご紹介しました。
いかがでしたでしょうか?
熊野古道「大雲取越・小雲取越」は歩く価値がめちゃめちゃある道です!歩くことで魂の甦り、神域に触れることが出来るのではないでしょうか。
是非、熊野古道歩きに挑戦されてみてください!
あなた自身の価値観、世界観が変わってくるのではないでしょうか?
なにより、自分の足で歩くというのは、本当に自分のため、体力は使いますが、その爽快感は歩いたものだけが味わえる至福なのです。清々しいのです。これはただのハイキングで得られる感覚とは違って、熊野古道が祈りの道であり、信仰の道、巡礼路だからこそだと私は思います。
熊野古道を歩いてみたい!
そう思ったら、是非、実行してみてください!
あきらめることは簡単です、
やってみる!
一歩踏み出すことをおすすめします(^O^)
素晴らしい熊野詣を!
熊野古道を歩いたら温泉で疲れを癒してください
おすすめは、湯の峰温泉、わたらせ温泉です